仕事が嫌になったからブロードウェイでミュージカル観てくる

Nothing is as beautiful as something that you don’t expect.

男装のジュリー・アンドリュース:ビクター/ビクトリア

サウンド・オブ・ミュージック」「メリー・ポピンズ」のジュリー・アンドリュースが、なかなか艶っぽく"女装した男性と偽る女性"を演じているのが、この1982年制作映画「ビクター/ビクトリア」。 DVDを買って観ました。演出はジュリーの2人目の夫、ブレイク・エドワーズ

ジュリーは95年、同作舞台版でブロードウェイに復帰しますが、3年後に喉の手術が原因で歌唱力を失ってしまいます。彼女が4オクターブの美声を披露した、最後の演目と言えるでしょう。

【あらすじ】1934年のパリ。キャバレー芸人の中年ゲイ、トディは若い愛人に邪険にされ、店もクビになる。売れないソプラノ歌手ビクトリアもまた、空腹のあまり、レストランで無銭飲食を企むまでに追い詰められていた。

トディはビクトリアをポーランド出身の「女装した男性」ビクター伯爵として売り出すことを思いつく。瞬く間にビクターはパリのスターとなるが、ショーを観ていたクラブのオーナー、キングがビクターに恋をしてしまい…。(あらすじ終わり)

サウンド・オブ・ミュージック」であのピュアなマリアを演じたジュリー・アンドリュースが、「肉団子のために(ホテル支配人と)寝る」と言ったり、レストランでゴキブリをサラダに入れて店にいちゃもんをつけたりします。しかし彼女の上品さがどうしても残ってしまって、もっと振り切れたところを見たい気もしました。

ジュリーの男装はとても様になっていて、「ル・ジャズ・ホット」をはじめとするショーシーンは見応えあり。入浴シーンで見せる背中には筋肉が程よくついていて、かっこいいです。

ロバート・プレストン演じるゲイのトディには母親のような包容力が感じられました。ビクトリアとトディが一緒に歌うシーンは息もぴったり。ホテルでの2人のやりとりも、家族のようなあたたかさがあって、ほっこりします。

ビクターに一目惚れするキング・マーシャルは、ポチャッとしたクラーク・ゲーブルみたいな風貌。ファニー・ガールといい、少し前のミュージカルは、クラーク・ゲーブル風の男性がよく出てきますね。

最後に、ビクターが実は女だとバレそうになった時にトディが一肌脱ぐところは、コミカルかつ心温まるシーンではありますが、やはりジュリー・アンドリュースが上品すぎる終わり方になっていて、もうひと掘り下げあってもいいのにと思いました。演出をした旦那さんが遠慮したのかな、と想像してしまいます。

ジュリー・アンドリュースは現在82歳。自身で演出した舞台版マイフェアレディがオーストラリアで上演されたりして(ブロードウェイ上演中のものとは別バージョン)、お元気のようです。