メアリーの総て(アップリンク吉祥寺)
鑑賞日:2018年12月15日
映画館:アップリンク吉祥寺
上映時間:121分
昨日オープンしたアップリンク吉祥寺での鑑賞。ナショナルシアターライブでベネディクト・カンバーバッチとジョニー・リー・ミラーの「フランケンシュタイン」を観た時に、本編前の解説で原作者が18歳の女性だったと知って興味を持っていました。その作者メアリー・シェリーに関する映画だということで観てみましたが、結果として大当たり。
【あらすじ】
母に死に別れたメアリーは、本屋を営む評論家の父と後妻、彼女の連れ子2人と共に暮らしていた。しかし、実母の墓で怪談小説に読みふけるメアリーと継母はそりが合わず、メアリーは知人のいるスコットランドに預けられる。メアリーはそこで詩人パーシーと出会い…。
【以下、ネタバレを含む感想】
登場人物が多面的に描かれていて、とても良かったです。笑わないエル・ファニングが魅力的。可愛らしい少女のイメージから脱して、成熟した女性を上手に演じていました。
登場シーンでペラペラと詩をまくしたてるパーシーは、ちゃらい男だなと思ったら、案の定色々やらかしてくれます。自由恋愛主義で、いったんはメアリーの手柄を横取りしそうな雰囲気を醸しながらも、最後は成長するのがいいです。
メアリーの義妹クレアが、とてもいい味を出していました。姉のパートナーであるパーシーと何かあった風で、さらにバイロン卿の愛人にもなってしまうのですが、出版前の「フランケンシュタイン」の感想を言うシーンが秀逸。
放蕩の限りを尽くしているバイロン卿もただの破茶滅茶な男ではなく、メアリーの才能を見抜いて励ましたりします。
小説「フランケンシュタイン」は愛を求めながら答えられることのなかった女性が、自身の孤独、喪失を余すことなく注ぎ出した小説だったんですね。でも、この作品を著したことで、彼女はその孤独から一歩踏み出して、夫や父との絆を手に入れたのだと思いました。メアリーの、決して誰のせいにもしない自立した精神には心打たれました。
- 作者: メアリーシェリー,Mary Shelley,小林章夫
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2010/10/13
- メディア: 文庫
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オープンしたてのアップリンク吉祥寺は、なかなか居心地が良かったです。お客さんもいい意味で垢抜けすぎてないのがよいですね。会員になろうかな。