仕事が嫌になったからブロードウェイでミュージカル観てくる

Nothing is as beautiful as something that you don’t expect.

マシューボーンの「白鳥の湖〜スワンレイク〜」

鑑賞日:2019年7月13日、17日

劇場:Bunkamuraオーチャードホール

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マシューボーン演出の男性版白鳥の湖。初代スワンのアダム・クーパーが有名です。

今年初鑑賞で、1回目はスワン/ストレンジャー役がマックス・ウェストウェル。良かったけど、色々と腑に落ちないところもあって、マシュー・ボールが主役の日を追加。結果、ようやく自分の中でこの作品が完成したような気がしました。

【あらすじ】

某国の王子は、母である女王に冷たくされ、寂しい思いをしていた。さらにスキャンダルをパパラッチされ、絶望して公演の湖に身を投げようとしたところ、美しい白鳥(スワン)に出逢う。実はスワンは、今まで彼の夢の中にたびたび現れていたのだった。生きる喜びを取り戻したかに見えた王子。その後開かれた舞踏会でスワンそっくりの男(ストレンジャー)が姿を見せる。しかし彼は王子につれなくし、次々と女性を口説く。最後は母である王女まで誘惑し…。

【以下、ネタバレを含む感想】

英国ロイヤルバレエ団のプリンシパル、マシュー・ボールのスワンが、この世のものとは思えない素晴らしさでした。

公園の湖で舞台を横切る登場シーンから、体が濡れていて妖艶。白鳥が小首を傾げる仕草、羽ばたく動作での筋肉一つ一つの動き、舞台をはける時の王子への一瞥など、とにかく目が離せませんでした。愛に飢えている王子を抱き抱えて、優しく羽で覆うところは、母性さえ感じました。両手を広げるととても大きく見えて、世界トップクラスの表現力を思い知りました。

ウェストウェル版では、王子が白鳥に思わず触れたくなる感じや、うっとり白鳥が踊るのを眺めるところ、白鳥との出会いで生きる喜びを取り戻したところなどに、いまいち説得力を感じられなかったのですが、マシュー・ボールの光輝くスワンを観て、やっと演出意図がわかった気がしました。

逆に舞踏会でストレンジャーが女性達を口説くシーンは、マシュー・ボールは若干おざなりというか、形をこなしているだけに見えました。マックス・ウェストウェルの方が力強く、勢いがあった気がします。もしかして、マシュー・ボールは女性をたぶらかすことに、あまり興味がないのか?と思うほどで、それはそれで個人的には好感が持てました。王子と踊る時だけ、(つれない、という設定にも関わらず)熱量が上がる感じがしました。

最後の王子のベッドでのスワンは、舞踏会の冷たさと打って変わって、命をかけて王子を守ろうとする姿を見せます。精神を患った王子の願望が幻影となったのでしょうか。ここでは血の掻き傷がスワンの体についているのですが、なぜかはわかりません。しかし瀕死のスワンの美しいこと。最後の最後まで神々しいスワンを堪能できて、本当に良かったです。白鳥の群舞も迫力満点。感動のあまり血の巡りが良くなったのか、少し肩凝りが解消された気がしました。

スワン以外にも、バーや舞踏会でのモダンな振り付けが楽しめました。斬新な踊りにも違和感なくはまるチャイコフスキーの音楽は普遍的な魅力があるのだなと改めて思いました。

 

↓こちらはアダム・クーパー

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