ナターシャ・ピエール・アンド・ザ・グレート・コメット・オブ・1812
観劇日:2019年1月8日
劇場:東京芸術劇場
2年前にブロードウェイに行った時、気になっていたのに観そびれた作品。1番の売りであるコメットシートを、奮発して体験してきました。トルストイの「戦争と平和」が原作ということで、ややこしい話かと思いましたが、見てみると意外とわかりやすかったです。
【あらすじ】
舞台は19世紀のロシア。ピエールは父から莫大な財産を受け継いだが、妻エレンとの愛のない暮らしの中、いかに生きるかを問い続けている。
一方、ピエールの親友アンドレイと婚約していたナターシャは、アンドレイの旅行中に快楽主義者のアナトールと恋に落ち、2人は駆け落ちを企てるが…。
【以下ネタバレを含む感想】
劇場全体が素敵に飾られていました。コメットシートから見た客席がまず綺麗。
↓こちらがコメットシートの見取り図です。
手前が通常の観客席がある方です。コメットシートはXA〜XDの5つのエリアがあって、XAの右横がオーケストラピットになっていました。コメットシートのスペースは、舞台より少し低くなっていて、カウンター席とテーブル席がありました。私はテーブル席でしたが、1人観劇だったので、相席の方と少しぎこちない空気にはなりました。
開演5分前くらいから、キャストが数名盛り上げるために舞台に出てきます。ピロシキやエッグマラカスがもらえる場合もありますが、各エリア1人ずつぐらいなので、本当にピロシキが食べたい人、エッグマラカスが欲しい人は事前にロビーで買っておいた方が無難でしょう。
舞台の内容ですが、ピエールの地味ともいえる心の動きが物語の主軸になっています。飲んだくれて本ばかり読んで無為に過ごしていた彼は、妻の愛人ドロホフとの決闘を機に、自分は今まで本当の意味で生きていなかったと悟ります。紆余曲折あって、彼の心が真に生き始めた時に、大彗星(グレートコメット)が到来するのでした。
ピエール役の井上芳雄は初見でしたが、お客さんの熱い視線からみると、かなりの人気者の様子。綾野剛みたいな線の細い風貌で、BW版のジョシュ・グローバンとは随分趣が違いました。原作の設定は肥満だそうですが、個人的には日本版の雰囲気の方が好みでした。
ピエールの物語と並行して語られるのが、ナターシャの幼い恋。演ずる生田絵梨花は色白で若々しく、舞台度胸のある人という印象。ナターシャという役がただ可愛いだけでなく、嫌悪や虚栄心なども描かれているのがいいと思いました。
存在感があったのが、ナターシャを誘惑するアナトール役の小西遼生。ミュージカル「生きる」でも観ましたが、今回の方が引き締まって華がありました。ちなみにBW版のアナトールは夢のような王子様キャラですが、小西版はワイルドでした。同じくワイルドなドロホフと少しキャラが被ってる気もしました。
特筆すべきは武田真治。ナターシャの婚約者アンドレイと、彼の父である老公爵の二役でしたが、特に老公爵は熱演。身体能力高いなと思いました。あとは目の前でサックスが聴けたのがよかった。
コメットシートの感想ですが、全体像を把握するには正面から見た方がいいと思います。でも、至近距離で熱演が見られたり、キャストが真横をすり抜けたり、肩を触られたりするのは、やはりなかなか無い体験でした。アトラクションに参加しているような感覚もありました。注意点としては、ポップコーンの雪が降ってくるので、コートはクロークに預けた方がいいです。
全編歌で繰り広げられるのですが、一箇所だけ、セリフで語られるところがあります。そこがとても心に沁みました。この舞台を観に来てよかったなと思った瞬間でした。
Natasha Pierre & the Great Comet of 1812 / O.C.R.
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