仕事が嫌になったからブロードウェイでミュージカル観てくる

映像業界経験のある事務職員。観劇への情熱だけが残っています。

ヴァージニアウルフなんかこわくない(NTL)

鑑賞日:2019年3月3日

映画館:ヒューマントラストシネマ有楽町

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【あらすじ】

歴史学者のジョージと大学総長の娘であるマーサは中年の夫婦。大学関係のパーティー後、すでに夜中の2時にもかかわらず、マーサは新任教授のニック夫婦を自宅に招いたという。若い2人の前で夫の無能さを嘆くマーサ。我慢の限界を超えたジョージは反撃に出るが…。

【以下、ネタバレを含む感想】

とにかく冒頭からマーサが酷い。モラハラ人格障害?と思える発言と態度で、父が大学の最高権力者であるがゆえに、誰も彼女を止められなかったのだな、という感じ。客人の前で夫のプライドを、これでもかというくらいにズタズタにして、あれを続けられたら鬱になってしまうのではないかと思った。後半は夫も負けじと執拗に仕返しをしていく。

野心家の新任教授ニックは、お笑い芸人のパックンに似てるな、と思いながら観ていたら、なんと「夜中に犬に起こった奇妙な出来事」のクリストファー。雰囲気が全く違うので気づかなかった。役者ですねえ。映画「ボブという名の猫」でも主演を務めているよう。

ニックの妻ハネーが典型的な「おつむの弱いブロンド娘」なのは、初演が50年前だからかなと思った。彼女の天然に救われる場面は多々あった(「バイオレ〜ンス」は最高)。

物語はあらぬ方向に進むので、「不条理劇なのか?劇場もハロルド・ピンター劇場だし」と思ったくらい、待てども待てども落としどころが見えてこない。すべては精神を病んだマーサの頭の中の出来事なのかと思う瞬間もあった。

最後の最後でようやく、夫婦の作り上げた虚構が夫の手によって破壊されて、不思議な静けさで終わった。今までのバトルが嘘のようにマーサをいたわるジョージ。

しかし、あんなに傷つけ合って、夫婦の絆が残っているものなのだろうか。現実なら、離婚や裁判沙汰になるのではないか。あの結末に至るまでに、あんな長時間の罵り合いが必要なのだろうかと思ったりもした。それとも、既婚者の皆さんは私の知らないこういった修羅場を経験されているんだろうか。観てよかったけど、他の人に勧めるかどうかは微妙だな、という感想。

不思議だったのは、3時間近く罵倒を聞かされて、思ったより負担に感じなかったこと。私は人の言い合いが嫌いで、テレビでも不穏なシーンはチャンネルを変えてしまうたちなのだけれど、帰路に清々しささえ感じていている自分に気づいて、戸惑った。緊張と弛緩の効果なのか。あるいは若夫婦が意外とリラックスしていて、ピリピリしていなかったからか。キツネにつままれたような、何とも奇妙な気持ちにさせられる舞台だった。

4月にシスカンパニー大竹しのぶ版が再演される予定だったが、演目が変更になったようで残念。段田安則がジョージで稲垣吾郎がニックとは、観てみたかった。

 

こちらはエリザベス・テイラー主演の映画版。

バージニア・ウルフなんかこわくない [DVD]

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