仕事が嫌になったからブロードウェイでミュージカル観てくる

映像業界経験のある事務職員。観劇への情熱だけが残っています。

ミュージカル「SMOKE」

観劇日:2018年10月20日

劇場:浅草九劇

上演時間:1時間50分(休憩なし)

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不遇の詩人、李箱(イ・サン)を題材にした韓国ミュージカルの日本プロダクション。台詞や歌詞のあちこちに彼の詩と思われる言葉が散りばめられていました。ダダイズムだというので難解かと思いきや、比較的わかりやすいものが選ばれている印象。わかりにくいものには、説明の台詞が添えられていました。

【あらすじ】詩の書けない詩人〈超〉と絵の描けない絵描き〈海〉。〈超〉は海を見に行く金を手に入れるため、三越の令嬢を誘拐することを〈海〉に持ちかける。しかし〈超〉が身代金要求の電報を打ちに行った間に、令嬢〈紅〉と〈海〉は打ち解け始め…(あらすじ終わり)

【以下、ネタバレを含んだ感想】

中央にステージがあり四方を5列ほどの席が囲む形。3列目からの観劇でした。最初は感情移入できず、間違ったところに来てしまったような気持ちに。でも途中から、そういうことか!と引き込まれました。

〈海〉の風貌に似合わない子どもっぽい喋り方や、詩を読む時だけ大人びるところで感じた違和感も、後で納得。ピストルを手に持って歌うシーンで、吹っ切れた勝利のような表情を見せる瞬間が切なかったです。(ただ恰幅のよい役者さんで肺病には見えず、もっと長生きしそうだと思いました。)

〈紅〉は韓国らしい包容力と激しさに溢れた女性で、現地キャストだとどんな感じなのだろうと想像。「おまえが俺たちを苦しめた」と何度も言われていたけど、根拠のない希望ほど残酷なものはないという意味なのでしょう。〈超〉役の役者さんはTMレボリューションのような雰囲気。イ・サンを苦しめる天才の虚像。

演出はレーザービームやスモークを多用していて、テレビで見かけるジャニーズのステージさながらでした。

ここで終わるかな、というところで終わらず、念押しのように続くのは、韓国ミュージカルならではなのでしょうか。台詞も繰り返しが多かったような。

「言葉は口にでた瞬間から腐り始める」「僕の言葉は心からほとばしり出るので、句読点を打っているひまがない」など、印象的な言葉が幾つかありました。

ひたすら自分に高い理想を要求し続けるイ・サンに、たしかに「薬飲んでちょっと寝た方がいいよ」と言いたくなりましたが、日本の韓国併合が彼の苦悩の背景にあるのだと考えると何とも言えない思いでした。こうして私達がミュージカルを観ていることが、彼の切望した夢がかなった証なのだと思いたい。

それにしても浅草はアクの強い町でした(特におじさん達)。コンビニの店員さんも、八百屋さんのような人間味ある接客でした。

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観光客の真似をして撮ったスカイツリー

 

↓こちらは、在日本韓国YMCAで2010年に行われた「李箱 生誕100年」記念講座の記録。李箱の文学の背景にあるものが説明されています。

http://www.ayc0208.org/jp/cutnmix3/kiroku/season3_7.html