どん底(新国立劇場)
観劇日:2019年10月4日
劇場:新国立劇場
マクシム・ゴーリキー「どん底」新訳上演。少し体調が良くなかったので、タイミングが悪かったなと思いながらも、なんとか劇場にたどり着いた。
救いのないラスト。
明確な答えは与えられない。
でも観る前より明らかに元気になっている自分がいた。
なぜだろう。
たとえ、何らかの答えが提示されたとしても、そんなに単純なことではないと納得出来なかっただろう。
答えが無い中で、必死に生きる人々の姿を見て、同志のような頼もしさを感じたのかもしれない。少なくとも、同じ戦いを戦っている人々がいる、1人ではないのだと。
巡礼者ルカの耳触りのいい言葉は、多くの人に影響を与えるが、根拠がなく、無責任で浅い。電車に頻繁に広告を出している自己啓発本の類を思い出した。
なぜ生きるのか。答えは自分で見つけなければならない。見つからなくても問い続けなければならない(いや、問うのをやめて、やり過ごす自由もある)。神を信じたいなら、誰かの聴いた神の声ではなく、自分一人で神と向き合い対話しなければならない。
そして、他者に対して、その人の人生の問題の解答を持っているかのように語ってはならないのだ。
そんな事を思った。観てよかった。