仕事が嫌になったからブロードウェイでミュージカル観てくる

Nothing is as beautiful as something that you don’t expect.

巴里(パリ)のアメリカ人

2019年1月から劇団四季で上演開始の「パリのアメリカ人」。その元ネタであるジーン・ケリー主演の映画をレンタルで観てみました。さわやかな恋愛ものかと思いきや、意外と込み入った話。脚本は「マイ・フェア・レディ」のアラン・ジェイ・ラーナー。

【あらすじ】元軍人のアメリカ人ジェリーは、パリで売れない絵描きとして暮らしている。ある日、通りで絵を売っていたところ、裕福なアメリカ人女性ミロが彼の絵を気に入り、スポンサーになると申し出る。ミロは明らかにジェリーに気のある様子。彼女の支援を受けるジェリーだが、カフェで出会った踊り子のリズに一目惚れ。リズもジェリーに好意を抱くが、彼女にはアンリという売れっ子歌手の恋人がいた。互いにスポンサーと恋人の存在を隠して会う2人だったが…。

【以下、ネタバレを含む感想】

今やジャズのスタンダードナンバーとなっているガーシュウィンの名曲が数多く登場する作品。「アイ・ガット・リズム」が子ども達に囲まれて歌われた歌だとは思わなかったし、「ス・ワンダフル」が、あんな微妙なシチュエーションで使われた曲だとも思いませんでした。「わが愛はここに(Our Love Is Here to Stay)」はジェリーとリズのロマンスのテーマとして効果的に使われていました。

ジェリー(ジーン・ケリー)はあれだけタップが上手なんだから、絵描きでいるより、ダンスで生計を立てればいいのに、と思いました。なぜジェリーがダンスが上手いのかという説明もないし。

リズに対しては、恋人がいるのになんでこの女はジェリーと会い続けるんだろうと思いましたが、最後の告白で、まあまあ納得。リズに「アンリと結婚する」と言われた後、ジェリーが急にミロを誘うあたりが生々しい。しかし、キスシーンはリズとのシーンより、ミロとの方がしっくり来ました。

途中のジェリーの夢想から始まる、ジーン・ケリー最大の見せ場であろうダンスシーンは、この時代の映画にありがちですが、正直長い。個人的にはアステアの品の良さと軽やかさの方が好みです。

リズ役のレスリー・キャロンはこれがデビュー作。笑顔が華やかですが、動きも演技も少し固いかなという印象。

ピアニストのアダムを演じたオスカー・レヴァントは彼自身ピアニストで、指がめちゃめちゃ回る人でしたが、ジェリーとアンリの間に挟まれるシーンなど、演技もいい味出していました。

来年の劇団四季版は、2014年にパリで(後にブロードウェイで)上演された舞台を元にしているようですが、公式ページを見ると随分映画とは筋が違うようです。映画は話としてはこなれてない感じもあったので、どんな風に整理されているのか観てみたい気がします。