観劇日:2018年12月2日
劇場:新国立劇場
上演時間:2時間45分(休憩有)

ナショナルシアターライブで上映されたこともあるデヴィッド・ヘアーの戯曲の日本語上演。今日のプレビュー公演後、3日間劇場を閉めてさらに稽古をし、本公演を迎えるとのことでした。
【あらすじ】
ロンドンの外れで教師をしているキラ。彼女のアパートを、元不倫相手トムの息子が3年ぶりに訪ねてきて、母親が1年前に無くなったと言う。そして同じ日の夜、トム本人もアパートを訪れる。最初は当たり障りのない話をしている2人だったが…。
【感想】
劇場に入った途端「ああ、これ好きなタイプの空間だ」と幸せな気持ちに。
以前WOWWOWで観た緒形拳、若村麻由美バージョンよりも、言葉やテンションが自然に日本語化されていると感じました(でも、たとえばウィンブルドン=田舎、というのは、やはりすぐにわかってもらうのは難しいなと感じましたが)。舞台美術もイギリス版からアレンジされていて、美しかった。
トム役の浅野雅博さん、写真で見るより実物の方がずっとかっこよかったです。スリムで身体能力高そうで、ちょっと大泉洋みたい。やり手の実業家の雰囲気がよく出ていました(それにしてもウィスキー飲みすぎ)。
蒼井優ちゃん、すごいセリフ量で最初から最後まで出ずっぱりなのに、余裕すら感じさせる落ち着いた存在感。キラの包容力と脆さ、意志の強さがいい感じに共存していました。細くて顔小さくて可愛いかった。
息子エドワードの葉山君は、どもりが日本語っぽくて自然だったけど、セリフを噛んだのか、どもりの演技なのかよくわからない感もありました。どもりながらも、もう少しテンポが流れればいいのにと思いました(何様)。
この作品が大好きで、ナショナルシアターライブでは複数回観ましたが、日本人キャストが日本語でやるものを観ると改めて理解が深まる面もあって、本当に豊かな時間を過ごさせていただきました。「誰も知らない個人的なゴールを見つければいい」のセリフを反芻したい気持ちになったのは、日本語だから、より親近感をもって届いてくるのかな、と思ったり。
開始前に、演出の小川絵梨子さんのご挨拶もありました。TOHOシネマズ日本橋の「イェルマ」上映時トークショーでもお話を聞きましたが、飾り気がなくて自然体で、知ったかぶりしない、素敵な方だなぁと思います。
この舞台が今後どんな風に味付けされるのか、是非本公演も観てみたい気持ちになりました。
