仕事が嫌になったからブロードウェイでミュージカル観てくる

Nothing is as beautiful as something that you don’t expect.

ダイアログ・イン・サイレンス

体験日:2018年8月12日

会場:ルミネ0 新宿NeWoman

数年前にダイアログ・イン・ザ・ダークを体験して楽しかったし、音の無い世界に興味があったので、友人と行ってきました。

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ダイアログ・イン・サイレンスは、一切言葉を使わずに表情やボディランゲージだけでコミュニケーションをする、というもの。手話も禁止です。当日は12人1組で行動するのですが、アテンドスタッフさん(ろう者の方)が身ぶり手ぶりだけで「この部屋ではこれこれのことをします」と説明します。何だかわかってしまうのだからすごい。後でお話を伺ったところ、スタッフの研修はかなり厳しくしっかりしたもののようです。

「写真を見て、それを表す表情を作る」という部屋では、自分の表情の引き出しの乏しさに気づきました。あとはアテンドスタッフに背を向けると、それはもう彼とのコミュニケーションが断たれてしまうことなのだということも。いくつか手話も教えてもらえました。

最後の部屋でヘッドフォンを外し、体験を分かち合うのですが、アテンドスタッフさんが、「表情が乏しいなら鍛えればいい。腕の筋肉をつけるのと同じだ」と話されていたのが印象的でした。彼もアテンドを始めた頃は「顔がこわい」と子どもに泣かれたりしたそうです。

体験終了後は、自分で選んだ表紙を何も書いてない本につけて、表紙や中身に好きなことを書いて本棚に並べます。

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終わった後、なにか清々しい気持ちになるイベント。一緒に行った友人もいい表情になっていました。2019年夏も開催予定だそうです。

 

総合プロデューサーの志村真介さんの本もあります。暗闇で視覚障がいの方がアテンドする「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」について。

 

 

 

RENT(東急シアターオーブ)

観劇日:2018年8月10日

劇場:東急シアターオーブ(渋谷)

もう何年も前に、イギリス一人旅をした友人が、「英語全然わからないのに号泣した!」とサントラを貸してくれたのが、レント。

お盆前に、NY気分を味わおうと急遽当日券で観ました。半額くらいのエンジェルシートの抽選券は間に合わなかったので、定価で購入。1階席はもうなくて、Sが2階席、Aが3階席と言われました。

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S席2階8列39番からの眺め。両隣が空いてて、途中椅子の上であぐらかいても大丈夫だったのはある意味贅沢でした。後ろの方数列もかなり空いてました。

【あらすじ】1989年ニューヨークのクリスマスイブ。ミュージシャンでHIV陽性のロジャーと、売れない映像作家のルームメイト マークは、倉庫ビルに不法滞在している。彼らとその仲間達の1年間が描かれる。

【感想】あらすじなど予習しないで行ったら、正直なところ前半はほとんど気持ちがついていかなかった(2階は表情見えないからかも。オペラグラス持っていけばよかった)。後半はじめに歌われるSeasons of Loveで、ようやく空気が引き締まった感じがしました。

大学講師トム・コリンズ(カクテルの名前笑)役の人が一番存在感があって、恋人のドラァグクイーン、エンジェルのお葬式で歌うI'll Cover You(Reprise)は聴きごたえがありました。Seasons of Loveのメロディが絡んでくるのが美しい。

I'll Cover You (Reprise)

I'll Cover You (Reprise)

  • Jesse L. Martin, Tracie Thoms & Rent
  • サウンドトラック
  • ¥250

あと個人的にツボだったのが、登場人物のママやパパ達から入る留守録メッセージの歌。最後は四重唱になってたけど、どこの国も同じなんだなと笑ってしまいました。

Voice Mail #5

Voice Mail #5

  • Aiko Nakasone, BYRON UTLEY & Kristen Lee Kelly
  • ミュージカル
  • ¥250

観客の中におそらく複数回観ていると思われる熱烈なファンの人達がいて、登場人物が出てきただけで、「あの役の人だ!」みたいな拍手が湧くところが度々ありました。

カーテンコールはあっさり目。すぐ場内電気がつきました。

後で調べてみたら、この作品はプッチーニのオペラ「ラ・ボエーム」を現代に置き換えたものだそうで、ロジャーにミミが火を借りに来るところは、オペラの中にもある場面なんですね。「ラ・ヴィ・ボエーム」という歌が歌われたのもそういうわけかと色々納得。

映画もあるようなので、今度観てみようかな。

 

RENT/レント[AmazonDVDコレクション]

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プッチーニ:歌劇《ラ・ボエーム》 [DVD]

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「トーチソング」11月よりブロードウェイでリバイバル上演

大昔に加藤健一事務所の「トーチソング・トリロジーを下北沢の本多劇場で観たことがあります。記憶がおぼろげなのですが、最後にゲイの主人公が自分の心情を訴えるシーンで強く心動かされたことを覚えています。

この舞台が、今年の11月からブロードウェイでリバイバル上演されるそうです(プレビュー公演は10月から)。昨年のオフ・ブロードウェイからのブロードウェイ進出、という理想的な流れですね。劇場はTHE HAYES THEATER

あらすじをおさらいすると、ドラァグクイーンの主人公アーノルドが恋人の死や養子、母親との関係を通して傷ついたり悩んだりしながら、でも誇りをもって生きていく、というお話。

主役のアーノルドを演じるのはマイケル・ユーリー。ドラマ「アグリーベティ」に出ていた人のようです。

下北で観たときは、確か最後に歌があって、それが圧巻だった記憶があります。ブロードウェイ版が観たい!

 

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 Torchsong Trilogy(Paperback)

 

NTLive「スカイライト」

観劇日:2018年8月3日
映画館:池袋シネリーブル
ナショナルシアターライブでの鑑賞。
実は3回目ですが、濃密な言葉の応酬で何回観ても新しい発見があります。最後はしみじみと幸せな気持ちになる作品です。2015年トニー賞リバイバル演劇作品賞を受賞。

【あらすじ】ロンドンの外れで教師をしているキーラのアパートを、元不倫相手のトムが3年ぶりに訪ねてくる。最初は当たり障りのない話をしている2人だったが…。
【感想】少し息子が出てきますがほとんど2人芝居。デヴィッド・ヘアの脚本が秀逸です。2人の心の距離が縮まったり離れたりを繰り返す中、徐々に否定できない価値観のずれが明らかになっていきます。でも互いへのあたたかな想いが最後まで垣間見えるのが切ない。
キャリー・マリガンは本当にはまり役。自立心の強い女性の役ですが、時折見せる慈しみに満ちた笑顔がたまりません。
対するビル・ナイはちょっと年齢が上過ぎるかなとは思いましたが、彼にしか出せない可愛さと包容力を醸し出していました(セリフだけ見るといけすかないオヤジなのに、ビル・ナイだとゆるせてしまう不思議)。
社会派な内容が続くところで、料理ネタでほっと一息させられたり、緩急がお見事です。最後、キーラがナプキンの匂いをかぐシーンに万感の思いがこめられていて、じんときます。舞台美術も美しい。

今年の12月に新国立劇場で、蒼井優がキーラ役の日本語版上演があるそうです。トム役はだいぶ若返るよう。
以前、若村麻由美緒形拳バージョンをテレビで観て、翻訳に違和感を感じたのを覚えていますが、今回は新訳だそうで楽しみです。


あまりに好きすぎて、脚本も買ってしまいました。

Skylight

Skylight

lyftはタイムズスクエアでは呼ばない方がいい

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ニューヨークでの移動手段はイエローキャブは全く使わず、もっばらlyftを使いました。lyftUberと同じ、普段は他の仕事をしてる人が自分の空き時間に自家用車に乗せてくれるサービスです。(Uberは私のUQモバイルではSMSで設定時のメッセージが受け取れず、使えなかった)

イエローキャブより丁寧だし、乗車前におおよその値段がわかるし、使い始めは割引もあって、何かと便利なlyftなのですが、困ったのは夜のタイムズスクエアでドライバーに会えなかったこと。電話で連絡をとっても、とにかく人と車が多すぎてお互い場所がわからず、数分後に向こうからキャンセルされてしまいました(しかもキャンセル料が9ドルくらいかかる)。アプリ上で表示される車の位置もずれてたりして、非常に戸惑いました。

仕方なく汗をかきかき数ブロック歩いて、目印になりそうなHOPEのオブジェの前で、再チャレンジ。

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(励まされるオブジェ)

ようやくつかまえることができました。その時のドライバーさんはベンツに乗った優しいイケメン(頑張ったご褒美をもらえたような気持ちに)。「タイムズスクエアでなかなかつかまえられなくて困った」と話すと、「僕もタイムズスクエアでお客に会えなくて向こうからキャンセルされたことがある。少し離れたところまで歩いてからつかまえた方がいい」とのことでした。そして、GPSは表示がずれることがあるので、やはり大きな目印になるものがある場所で呼ぶことをおすすめします。

キャンセル料については、後でlyftにメールで「ドライバーに会えなかった」と申請すると、クーポン券がもらえました。

今回の経験から、一番いいのはやっぱり観劇後に徒歩で帰れるホテルにすることだと思いました。例えばNovotelとか本当にちょうどいい立地だと思ったり(劇場にもよりますが)。

ちなみに夜のブロードウェイでは、終演後劇場の外に出ると自転車タクシーが沢山チリンチリンとベルを鳴らして待っています。一瞬ものは試しで乗ってみようかとも思ったのですが、見事に誰も乗らないのでやめておきました。帰国後に調べたら、ぼられたという話もあったので、やはり乗らない方が賢明なようです。

 

名曲ピックアップ18夏:A Hymn to Him(My Fair Lady)

My Fair Ladyは1956年初演なので、18夏というのはどうかとも思いましたが、今上演されてるので。

トランシルベニア大使館での社交界デビュー大成功の後に家出したイライザについて、ヒギンズ教授が「なぜ女は男のようになれないのか?」と怒りをぶちまける歌。こちらは初代ヒギンズのレックス・ハリソン版。

Hymn to Him (From

Hymn to Him (From "My Fair Lady")

  • Rex Harrison
  • ミュージカル
  • ¥250

まあ、偏見に満ちまくった内容です。実際に舞台を観た時は、観客の中で怒る人がいるんじゃないかなとちょっとドキドキしてしまったほど。だけど何だかとても気持ちよさそうに歌ってるし、音楽も勇ましくコミカルなので、ついクスリと笑ってしまう、不思議な魅力を持った曲です。

私が特に好きなのは、ここ。

They're nothing but exasperating, irritating,
vacillating, calculating, agitating,
Maddening and infuriating hags!

"女はしゃくにさわる、イライラさせる、優柔不断な、計算高い、やきもきさせる、気を狂わせる、腹立たしい魔女だ!"

ingで終わる罵詈雑言が7つも並んで、ここまでくると爽快です。

ピカリング大佐との掛け合いも楽しい。ヒギンズが「君は僕が何時間か話さなかったら無視するか?」「花を贈らなかったら傷つくか?」「誕生日を忘れたら大騒ぎするか?」と問うと、大佐は「 もちろんしない!」「くだらない!」「絶対しない!」とテンポよく答える。勢いづいたヒギンズは「なんで女は、俺たちみたいになれないんだ!」と叫ぶ。

さらに、ベテラン家政婦のピアスさんにまで「ピアスさん、あなたは女性だ。なぜ女性は…?」と続ける無神経さも、笑ってしまいます。ピアスさんは映画でも舞台でも後ろ姿なので、反応がわからないのですが、憮然とした表情が容易に想像できます。

作詞のアラン・ジェイ・ラーナー、作曲のアンドレ・プレビン、そして初代ヒギンズのレックス・ハリソンはみんな複数回結婚・離婚を繰り返しているそうで(ラーナーは8回!)、この歌はそんな彼らの本音が炸裂しているのかもしれません。

今回のリバイバル上演でヒギンズを演じたハリー・ハッデンペイトンはインタビューの中で「歌いにくい内容では?」と聞かれ、「確かにそうだけど、ヒギンズが自分の信じてきたことをひっくり返される前に、まず彼の凝り固まった考えを強く詳しく述べる必要があるんだ」と答えています。

ヒギンズが映画より若いのも、イライザとの対等な立場を表すためで、実際バーナードショーの原作では、40歳くらいの設定なのだそう。

レックス・ハリソンのしゃべり歌いは、あまり歌が得意でなかったための苦肉の策だったようですが、リズミカルで勢いがあって引き込まれます。そのスタイルを見事に踏襲し、かつ新しい魅力のヒギンズを生み出したハリー・ハッデンペイトンを観ることができたのが、今回の「My Fair Lady」での一番の収穫でした。

 



 

ミュージカル「トッツィー」が19年3月ブロードウェイへ

ダスティン・ホフマン主演の映画トッツィー」がミュージカルになって2019年3月にブロードウェイで上演されるようです。この9月からプレ・ブロードウェイ公演がシカゴで行われます。

音楽をThe Band's Visitのデイビッド・ヤズベックが担当しているのが非常に気になるところです。

主演は、映画「アナと雪の女王」でハンス王子の声を担当したサンティノ・フォンタナ。ハンス王子といえは、なぜ子ども向けのアニメにあんな夢のない男を登場させるんだと思える悪役ですが、彼はあるイベントで「ハンス王子は悪いやつだけど、あれは演技だから。僕はいいやつです」と言っています。

他に、少し前までスポンジボブに出ていたリリー・クーパーも出演するようです(カンフーと化学が得意なサンディを演じていた人)。ブロードウェイで活躍している役者さんやスタッフは、色々な作品で引っ張りだこになるんですね。

トッツィー [DVD]

トッツィー [DVD]

 

トッツィー」のブロードウェイ プレビュー公演は3月29日に始まり、本公演は4月23日から。劇場はMarquis Theatre。